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諏訪の自然七不思議



1.縞枯山の縞枯れ現象    2.車山・ゼブラ山の構造土  3.八島ヶ原高層湿原 4.茶臼山東山麓の風穴
5.亀甲池の底石の配列    6.諏訪湖の御神渡り     7.諏訪湖の間欠泉  8.諏訪湖の水平虹
9.諏訪湖湖底に眠る曽根遺跡 10.車山の樹叢

諏訪の自然七不思議」茅野市立八ヶ岳総合博物館・両角源美館長の冊子より

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1 縞枯山の縞枯れ現象
縞枯山の縞枯れ現象
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 北八ヶ岳には、横に幾筋にもシラビソが縞状に立ち枯れた縞枯山があります。なぜ、縞状に立ち枯れるのか、その原因とでき方はずずっと謎のままでした。しかし、近年の研究で少しずつ謎が解けてきました。東京都立大学理学部教授木村允先生の40年間に渡る研究から、その原因とでき方を探ってみます。
 大きな原因は諏訪側から吹き上げる南西の偏向風と台風などの強い風だということです。それに、火山噴出物の岩石におおわれた腐植土の浅い土地が、シラビソの成長を抑えているようです。
 シラビソが10mくらいに成長すると風当たりが強くなり、特に強風が吹くと大きく幹が揺すられ、浅い張り方しかできない根は浮かされて細い根が切れてしまいます。すると水分・養分の吸収ができにくくなり立ち枯れていくというわけでず。ですから、10mくらいの高さの木がそろって枯れるというのです。どうやら酸性雨ではないようです。
 この立ち枯れの縞は、次第に上の方へと移動して行きます。木の寿命はおよそ70年くらいと分っています。
 縞枯山の北東斜面の林では、縞枯れれ現象が見られないばかりか、太いシラビソ・細いシラビソ・ダケカンバ等いろいろの植物が生えていて、亜高山帯の普通の森林です。偏向風はないので立派な森林になっています。(植物のふしぎな旅「縞枯山の謎」北八ヶ岳BS-2.'95/12/8)

2 車山・ゼブラ山の構造土
車山・ゼブラ山の構造土
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 霧ヶ峰草原の車山やゼブラ山には、自然にできた階段状の地形が見られます。階段面には草がなく、大小の石がごろごろしており、階段面と階段面の間の斜面にだけ草が生えています。大きくなった草の倒れている方向を見ると、階投面のできている方向と一致しています。車山のものは流土階段と流土階段が条線砂轢へと移行しているものもあります。この移行は山の斜面の傾斜が増す所で形成されており、斜面に添ってたれ下がっています。
 流土階段は、冬の一定方向に吹く風で地表面の雪が吹き飛ばされ、筋状に露出した地面が凍み上がり、土の中の石が地表へ押し出されてできるのだそうです。強風と石ばかりのところには植物が生えにくく階段状になるわけです。
 構造土とは、土中の水分の凍結・融解の繰り返しにより、粗粒物質が抜け上がり集積して模様を作るもので、多角形土(亀甲轢)・環状土・条線土・階段礫などと呼ばれている。ツンドラ、高山荒原など周氷河地域で形成されるようです。

3.八島ヶ原高層湿原
八島ヶ原高層湿原
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 湿原研究で世界的に有名なJensen博士は、八島ヶ原湿原について「これほど見事 な湿原は世界中でベルギーに一か所見るのみだ」と絶賛している。昭和14年に国の天然 記念物に指定されている。
 この湿原は、川水ではなく主として雨水や霧によって涵養されている高層湿原で、ミズゴケ・ヒメシャクナゲ・ツルコケモモなど北半球のツンドラ地域に生活の本拠地をもつ植物が生育し群落を作っている。高層湿原の南限にあたるといわれる貴重な湿原である。
 湿原のミズゴケは、1年間に1mずつ雨水や蕎の水分によって生長し、池の水面よりも 高くなり湿原全体がレンズ状に盛り上がり、ミズゴケの下部は腐らずに泥炭となっている。泥炭層の厚さはおよそ8mに達しているので、この湿原は8千〜1万年かかって形成されたものと堆定される。
 湿原内には、八島ヶ池、鬼ヶ泉水、鎌ヶ池の三つの池がある。いずれも強い酸性の水で2〜3の動物が認められているのみである。

4.茶臼山東山麓の風穴
4.茶臼山東山麓の風穴
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  北八ヶ岳の茶臼山東斜面で、標高2135mのシラビソ森林の中に、ぽっかり口を開けた風穴があります。直径が200mくらい深さ30mくらいの大きな穴で、真夏でも底に氷があり、底まで下りると冷気で皮膚にとりはだがたつ地獄のような不思議な穴です。その寒さは冷蔵庫に入っているのと同じ感覚です。底部には大きな岩石がありますが、なにも生えていません。少し上がるとコケ類が生え、もう少し上がるとコケ類の中にゴゼンタチバナなどの草本類が生えるようになり、1/3くらいの所から潅木が生え、1/2くらいの所から上はシラビソ林になります。このように底から入り口への温度変化が植生に大きく影響していることが分ります。
 この風穴は航空写真から発見されたそうですが、噴気口の跡ではないかといわれています。

5.亀甲池の底石の配列
5.亀甲池の底石の配列
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  北横岳の大岳の諏訪側の麓にある池で、底にある石が亀甲状ないしは五角形、または円に近い配列をしているということで池の名前がついています。
 なぜ、このような底石の配列が起こるのか非常に興味あることです。この池が浅いこと、流入する水量が少ないこと、したがって冬は水がほとんどなく底は凍ってしまうこと、晩秋や早春には凍ったり解けたりして、凍み上がりの時に凍みの中心から外へ右が移動すること、これを何年も繰り返し亀甲状に右の配列ができるのだそうです。

6.諏訪湖の御神渡り
6.諏訪湖の御神渡り
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雪が降って諏訪湖の表面水温が下がり、最低気温が氷点下10〜15℃以下の日が続くと、諏訪湖は全面結氷します。すると水面からの蒸発がなくなり、空気へのエネルギー供給が途絶えるため気温はさらに低下して氷は次第に厚さを増して行きます。0℃で氷が氷結するときには体積が膨張しますが、いったん固体になると温度が下がるほど収縮しますので、深夜氷が引き裂かれてゴーという大きな音とともに裂け目ができます。この裂け目に夜のうちに氷が張ります。日中太陽の光に慣らされると湖全体の氷は膨張して、裂け目に張った弱い氷を両側から押し上げます。すると再び水面が現われ夜には氷が張ります。翌日日光が出ると湖全体の氷が膨張するので、割れ目に張った氷は押し上げられます。最低気温がマイナス10℃以下の寒い日が続いている間は、割れ目の氷は次々と盛り上がり成長します。これが御神渡りで氷が盛り上がるメカニズムです。
 氷にのっても安全な状態になると、小和田区の八剣禅社の「御神渡り拝観式」が行われ、奉告祭をしてその年の作物の作柄が占われます。御神渡りは、諏訪大社の神々の“恋のかよい路”との伝説もあります。
 全面結水がない年は「明海」と呼び、毎年の結氷記録は天和3年(1683)から八剣神社に保存されています。

 1998年1月、7年ぶりに御神渡り。新聞記事と観測結果(小川千里・友子)


7.諏訪湖の間欠泉
7.諏訪湖の間欠泉
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 昭和58年(1983)湖畔の七ッ釜湯源をボーリング中に、地下850mから最高55mの間欠泉が噴出しました。この高さは日本一(東洋一)で、当初は5分間に2回噴出する勇壮なものでしたが、現在はは20分に1回程度に抑えられてます。
 近くのあやめ園湯源では、1981年に98.5℃の高温湯が噴出していて、湖畔のこの地域には高温域があるようです。
 では、なぜ間欠的に噴出するのでしょう。いくつも説がありますが、最も有力視されている一つの説を紹介しましょう。
 地下深くの熱源近くに地下水の溜まる所があり、100℃以上に熟せられると水蒸気圧が上昇して、溜まっていた熱水を一気に噴出します。噴出し終わると気圧が下がるので地下水が溜まり、熱水になって水蒸気圧が高まるまで噴出を休みます。これを繰り返しているのではないかというのです。

8.諏訪湖の水平虹
8.諏訪湖の水平虹
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 湖面に平らにできる虹で、非常に珍しい環蒙です。茅野慶次先生によって観察されたデータによると、10,11,12,3,4,5月の午前7時40分から8時15分頃までの間に観察されています。
 観察場所は諏訪湖学園から大和、高木までの位置で、太陽と反対側の湖上に見られるようです。
 水平虹のできかたは、鏡のように静かな湖面の時、水中の有機物の分解などによってできた薄い膜の上に、非常に細かな水滴がのっていて、この水滴に光が当たると屈折・分光して虹が見えるようになるのだそうです。(茅野慶次 自然観察ハンドブック 1995信濃教育会) 諏訪湖の水平虹(撮影 茅野慶次)

9.諏訪湖湖底に眠る曽根遺跡
9.諏訪湖湖底に眠る曽根遺跡
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 人間が水中に住めるわけがない。古代人はなぜ諏訪湖の湖底に遺跡を残したのか。魚捕りに関係した遺跡跡か、謎は多い。
 曽根遺跡は諏訪市大和沖約200mの湖底にあり、明治末期にしじみ鋤簾にかかって大量の土器片・石器類が採集されました。この遺物から推定するとおよそ900〜1000年前、縄文時代直前の中石器時代の遺跡であることが分かっています。石器の大部分は石鏃で銛として一本の柄にいくつも付けられ、漁労に使われたのではないかと堆定されています。
 湖底に遺跡があることについてはいくつもの解釈があります。筏を杭で固定しその上で暮らしたのではないかとか、もとは水位がかなり低く曽根は湖岸にあったのではないかとか、当時は島か半島であったが地滑りで湖底に沈んだのではないかなどの諸説がありますが、諏訪湖はフォッサマグナの中にある断層湖であるため、地盤沈下によって湖底に沈んだのではないかと考えられています。

10.車山の樹叢
10.車山の樹叢
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 南〜南東の傾斜25度〜35度の斜面の沢添いにあり、高木層がよく発達している。日照効果がよいため生育の環境条件がよく大きい樹木が多い。
 高木層はダケカンバ、ミヤマザクラ、コミネカエデが優占し、他にオガラバナ、ミヤマアオダモなどがある。
 低木層はサワラ、イボタヒョウタンボク、オオカメノキ、リョウブを主に、オニツルウメモドキ、ミヤママタタビなどのつる性植物や美しい花を咲かせるアズマツリガネツツジも見られる。
 草本層にはミヤマワラビ、ノコンギク、六ゲ類が多く、コウモリソウ、アラゲヒョウタンボク、キリンソウが見られる。しかし、この椒叢にはツバメオモト、マイズルソウ、ザリコミなどがなく、他の椒叢とやや違った林床植生をしている。   (諏訪の自然誌「植物編」より)



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