伊藤千代子顕彰の碑

案内図 顕彰碑全景

伊藤千代子をご存じですか?　「この目の前にある不公平な社会を何とかよりよいものにしよう」とした伊藤千代子は拷問や虐待によって獄中で1929年9月24日に24歳の若さで亡くなりました。 　諏訪で育った伊藤千代子は、土屋文明や清水多嘉示にも教えを受け「最も困っている人達、いくら働いても貧乏している人達の味方になって」生きていきました。 　生誕日にあたる1997年7月21日地元の人々を中心に顕彰碑が建立されました。 　　ご宿泊の方には顕彰碑やお墓などご案内いたします。 　　伊藤千代子の書簡は諏訪市図書館に保管されています。 　　詳しくはradish0@po8.lcv.ne.jpまでお問い合わせ下さい 　　下記の藤森さんの著作は生前のご本人から掲載許可を得ました。また碑の拓本もいただきました。 長野県諏訪市雲竜寺墓地墓参にあたっての注意事項　　藤森明さんの本より 　 1.　県道岡谷・茅野線より伊藤千代子の墓所に至る道路は下の案内図のルートでマイクロバス以下なら登れます。 2.　普通車であれば案内図に記載してある道路は通れますが、急坂で道幅がせまいので注意してください。 3.　墓参にあたっては他の方の墓地に立ち入らないでください。 4.　水場の桶を使用した場合は必ず元へもどしておいてください。 5.　千代子の墓は伊薩家の墓所の中の一画にあるものです。墓へのお供物は管理する方へ思いやりをもって迷惑をかけないようにしてください。 6.　JRや高速バスを利用して来られる方は、降りた地点から6〜7kmの距離があり、バス通過の本数も少ないので上諏訪駅か茅野駅、あるいは中央道バス停からタクシー利用が便利です。

伊藤千代子は1905年(明治38)7月21日、ここ諏訪の南真志野の農家に生まれ幼くして母と死別、湖南小学校から中州小学校へと転校し、祖父母の援助で諏訪高等女学校(現・諏訪二葉高校)に学び、高島小学校の代用教員の後、仙台尚絅女学校から東京女子大へとすすんだ。 　千代子は常に生活に苦しむ人々に心をよせ、世の中の矛盾と不公平さを許せず、学内で「資本論」を学ぶなど、社会科学研究会で中心的に活動した。郷里では初の普通選挙をたたかう革新候補の藤森成吉を支援、岡谷での歴史的大争議であった山一林組の製糸工女らを激励し、社会変革の道にすすんだ。 　1928年(昭和3)2月、千代子は日本共産党に入党。3月15日の治安維持法による野蛮な弾圧で逮捕、市ヶ谷刑務所に投獄される。千代子は獄中での狂暴な拷問や虐待にも屈せず、同志を励ましたたかい続けたが、ついに倒れ1929年9月24日、24歳の若さで短い生涯を閉じた。 　千代子の死後、女学校時代の恩師でアララギ派の歌人・土屋文明は暴圧下のきびしい言論統制の中の1935年、教え子伊藤千代子の崇高な生涯を悼み歌に詠んだ。 　千代子のこころざしは今も多くの人々に受け継がれ、生きている。

まをとめのただ素直にて行きにしを 囚えられ獄に死にき五年がほどに 　 こころざしつつたふれしをとめよ 新しき光の中におきて思はむ 　 高き世をただめざすをとめらここに見れば 伊藤千代子がことぞかなしき 　 　　(1935年　　歌人土屋文明が詠んだ歌より)

1/生いたちと出会い　 　　生地の諏訪というところ　千代子の境遇　転校した小学校の熱気 2/目覚めとまわり道　 　　白樺派とアララギ派のはざまで　　歌人教師の土屋文明に学ぶ　　代用教員から仙台への転出 3/「知はカ」の活動と結婚　 　　進学と塩沢富実子との出会い　「社研」活動の先頭に立つ　革新の高まる諏訪と千代子 　　結婚と覚悟した弾圧 4/獄中での千代子とその死　 　　連行される千代子の沈着さ　拷問と虐待に抗して　千代子の発病と最期 5/千代子の死因をめぐって　 　　面会した千代子の身内は　獄中の同志が千代子を伝える　生と死を分けたもの 6/その遺志を継ぐものたち 　　無言の千代子故里にかえる　千代子の死を悼む労働者たち　「千代子がこと」を詠む 7/死してなお生きて 　　最後の学費のゆくえと山本懸蔵　代議士初当選に「千代子」の出現　千代子を語る人びとはいま 8/干代子よ永遠なれ 藤　森　明（ふじもり　あきら） 1932年　長野県茅野市宮川に生まれる。 　　　地域で住民自治・自然保護・社会教育等の諸運動にとり組み、 　　　日本共産党茅野市議会議員を3期つとめ、傍ら地方の民衆史を研究する。 主要論考・著書 　　　　失われた諏訪の祭りと芸能。発掘にみる干択城下・中世大町の景観 　　　　竜蛇信仰の流布と諏訪にみる治水制の展開。歴史の道・杖突街道調査報告書（共著） 　　　　　　　　　　　　　　　　1995年11月3日/初版　1996年9月24日/第2刷

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